不育症検査                             

1)習慣性流産:基本セット

 CBC  FT4
  I生化学一式  
 C凝固一式(342点)
    PT、APTT、TAT、AT−V、フィブリノーゲン(342点)

 F不育一式(合計880点)
    ループス抗凝固因子(ループスアンチコアグラント)(290点)

    抗核抗体(120点)
    Clβ2GPT抗体(230点)

    凝固第XII因子(第12因子量)(240点)
  


 抗Cl抗体IgG(250点)、抗Cl抗体IgM(自費   円)
 
抗力ルジオリピン抗体陽性( IgG, IgM )(自費3900円

 
 抗フォスファチジルエタノラミン抗体IgG(自費5600円

                          合計      円

 クラミジア・淋菌抗原(460点)
 ホルモン検査:卵胞期初期:LH、FSH、PRL(420点)
        黄体期中期:E2、P(480点)

 #プロテインS抗原(260点):妊娠中期以降の不育症
        
妊娠中はプロテインS活性(自費4300円
 #NK細胞活性(要予約14000円、月〜木の14:00まで、専用容器あり)
        自己抗体陰性で他に原因はっきりしない場合に検査
 #染色体検査(Gバンド核型分析)患者および夫(2400点)






2)不育症治療(暫定プラン)

  1、自己抗体陽性(抗核抗体のぞく)
     a、 妊娠前2〜3ヶ月前より柴令湯3P 3X内服(抗体の陰性化、低下を図る)
       妊娠後も最低妊娠12〜16週までは継続する。
       妊娠後も最低妊娠12〜16週までは継続する。また妊娠後は低用量
      アスピリンへの変更もしくは併用とする。

          ( 抗体陰性化例は低用量アスピリンへの変更可能。抗体再度陽性化の際は
        柴令湯を再投与(分娩まで)

     分娩まで定期的抗体と凝固のチェックを行う
      

        抗体陰性、陽性にかかわらず、凝固の高度亢進時はヘパリン療法検討
        抗体陽性持続なら柴令湯継続し、妊娠12〜14週以降
      低用量アスピリンも併用とする。(アスピリンは妊娠36週まで,
      柴苓湯・ヘパリンは陣痛開始まで投与
   b、妊娠していれば、柴令湯と低用量アスピリン投与すぐに開始する。

  2、抗核抗体のみ陽性
     抗凝固療法が奏功するとのEBMはない
      基本的には薬物療法不要
      (EBMないが、妊娠判明後、低用量アスピリンを開始する方法も )

  3,第]U因子陽性例
    妊娠判明後、低用量アスピリンを開始する

  4,自己抗体陰性で原因不明症例
     NK細胞活性測定を検討する(自費検査で要予約・・・注意)
      免疫療法の有効性は議論が分かれている
    (米国のFDAは有効性が確認できるまで免疫療法は施行しないと通達している)

         従来、陽性例は免疫療法検討症例となる。夫リンパ球移植やピシバニール投与の
      適応かもしれないが、大分では施行施設がない。大分医大相談か柴例湯投与か?
        陰性例にはたまたま繰り返している正常例か原因不明例が混在していること
       となる。流産回数により患者と相談し、経過観察か柴例湯・アスピリン投与
      する考えもある。

 5、中期以降のIUFD、前回早剥例ではプロテインS抗原を測定する
       プロテインS、プロテインC等凝固異常の検索を行う
    
凝固異常例は抗凝固療法を行う
      
( 例、低下症例:低用量アスピリン療法。プロテインS活性、凝固線溶系の
             フォロー
 
        正常症例でもIUGRや重症妊娠中毒症既往は低用量アスピリン療法
             する考えもある。)
  

 6,前回重症妊娠中毒症(IUGR)例等
      妊娠12週ごろよりの低用量アスピリン療法を検討する

 ヘパリン療法が奏功するケースが多い。特にプロテインS低下症例には望ましい。
   しかし、ヘパリン療法は1日2回皮下注射のために通院もしくは入院が必要で、
  分娩まで継続せなばならない。患者さんにとっての負担は大である。患者さんより実行
  困難の場合、やむを得なく低用量アスピリンで経過をみることも選択肢の一つ。
  ただし、ヘパリン療法の存在は説明すること。






習慣性流産の原因


 流産時検査

   1.染色体異常
     自然流産絨毛の染色体
      trisomy 64% , polyploidy 9% , monosomy X 7%
                            ( 大野ら 144例 )
   2.感染症
     胎盤の病理検査、胎児成分の細菌、ウイルス検査

 非妊時検査 
   
   1.夫婦の染色体  
   2.子宮形態異常
   3.黄体機能不全
     BBT: 高温相9日以内、高低差0.3℃以内、黄体中期 progesteron 10ng/ml 未満
   4.高 prolactin 血症
     TRH loading test
   5.甲状腺機能異常、糖尿病                                     
     FT3, FT4, TSH
     BS, 75gGTT, HbA1c
   6.感染症
     子宮腔内細菌培養、頸管 clamydia IgG
   7.自己免疫疾患
     SLE
     抗リン脂質抗体症候群


        

抗リン脂質抗体症候群の診断基準
臨床所見  1) 血栓症
   動脈血栓症
   静脈血栓症
 2)反復性の流産・死産
検査所見  1) 抗力ルジオリピン抗体陽性( IgG, IgM )
 2) ループスアンチコアグラント陽性
 ( 3) APTT 時間の延長, 経時的変化は治療効果
     判定の手段 )
診断基準 臨床所見の少なくともひとつを認め,検査所見
のひとつ以上陽性の場合を抗リン脂質抗体症候群
と診断する。ただし.検査所見は数週間の間隔を
あけ,2回以上陽性であること。
治療 低用量 aspirin , prednisoron

   
    8.同種免疫由来
      1.夫リンパ球と妻リンパ球を混合培養するone−way MLR を検査
      結果のカウント値より抑制率(=(1−妻血清添加群/コントロールAB血清添加群)×100(%))
      を算出し,25%未満の症例を夫リンパ球療法の適応症例としている。      
      2.HLA-DR typing  (現在はしない)