妊婦検診検査項目について

1、子宮頚部細胞診
2、風疹   ・風疹:   ・診断:   ・先天性風疹症候群
3、HIV  AIDSウイルス  ・妊婦にHIV検査を行う必要性       #注意
4、B型肝炎ウイルス抗原(HBsAg)  B型肝炎ウイルス  #血中HBVマーカーの臨床的意義
         #分娩時臍帯血のHBs抗原検査を行う
          #妊婦さんへの指導は下記「HBs抗原陽性の患者さんのために」を参照のこと
5、梅毒    #梅毒血清反応の解釈
6、頚管無力症チェック(経膣超音波)
7、クラミジア抗原
8、HCV(C型肝炎)  #キャリアへの説明例 
9、ATL(成人T細胞白血病)
  #注意
    HTL-1 キャリアの方へ
10、膣分泌物培養(GBS)
11、血糖   #75gGTT
12、血液型、(不規則抗体)
13、トキソプラズマ
14、羊水染色体検査   (染色体異常のページを参照)  
15 NST
HBs抗原陽性の患者さんへ
    Q1,B型肝炎とはどんな病気ですか?
    Q2,赤ちゃんにはどのようにして感染しますか?
    Q3,精密検査でHBe抗原陽性といわれましたが?
    Q4,母子感染は予防できますか?
    Q5,感染を予防するにはどうしたらよいでしょうか?
    Q6、夫に感染することがありますか?








妊婦検診検査項目について



1、子宮頚部細胞診

   近年、20代女性にも子宮癌が増えてきており、妊娠は癌検診のよい機会であるといえる。子宮頚癌は早期診断に
   より完全に治すことが可能であり、より早期(上皮内癌:CIS)であれば子宮温存(子宮頚部円錐切除)も可能である。
      
2、風疹

   風疹を妊娠初期に感染すると胎児に先天性風疹症候群とよばれる奇形が発生しうることが知られている。
   ・風疹:潜伏期間は2〜3週間、症状は発疹、リンパ節腫脹、発熱等。
        発疹(直径3mm位の赤色丘疹)はまず顔面に現れ、眼瞼および眼瞼結膜が充血し、その後全身に広がる。
        リンパ節は頚部、耳介後部、項部のものが腫脹するのが特徴。発熱は必発ではないが、発疹と一致し、
        3日以上にわたることは少ない。症状の出現しない不顕性感染が約20%に存在する。咽頭からのウイルス
        排出は発疹出現の1週間前から、発疹後約2週間位まで続く。
   ・診断:(1) 急性期(第3病日以内)と回復期(第7病日以後)のペア血清で4倍以上の抗体価の上昇。
        (2) 第7病日以後の風疹ウイルスに対するIgM抗体が検出された場合。
        #当院の方針
          風疹抗体価 256倍以上なら2〜3週間後、風疹抗体価 HI と風疹 IgM 抗体検査

   ・先天性風疹症候群
      症状:白内障、心疾患、聴力障害が主
      風疹に罹患した母親からの異常児の発生は妊娠11週以内の90%以上をピークに以後急激に減少し、妊娠
      17週以降は見られていない。
      不顕性感染での発症は低いようである。また再感染であった場合胎児に影響を与えることは非常に少ない。

3、HIV

  AIDSウイルスに感染していると約30%に母児感染が存在するといわれている。またAIDSウイルスに感染している
  場合、妊娠を契機にエイズを発症することがある。

  ・妊婦にHIV検査を行う必要性
   (1) HIV母子感染の防止:近年母子垂直感染を抑制する方法が確立され、自然感染率の20〜40%を2%にまで
      抑制することができるようになった。加えて止乳すれば母乳による児への感染の8〜10%が抑えられる。
      HIV感染児は多くが4歳までに死亡するという悲惨な生涯を送ります。
   (2) 早期治療開始による延命効果:HIV治療が開始されれば10年とされる感染後の余命が、約20年に延命される。
   (3) 配偶者などへの感染拡散防止:コンドームを使用した性交など予防法を指導する必要がある。
   (4) 医療従事者、他の患者さんへの感染防止
   #注意
     現在妊婦にとってHIV検査は義務ではありません。しかし、上記内容より増えるHIV感染において欠かせぬ検査
     といえます。現在全国の産婦人科の73.2%の施設でHIV検査が行われています(大分 30.27%)。患者さん
     へは、上記の本疾患の「重み」から、求められれば上記の意味のの説明を行い、加え万一陽性の場合には守秘
    義務を固く守ることの約束など、配慮が必要です。                            

4、B型肝炎ウイルス抗原(HBsAg)

  B型肝炎ウイルスは慢性肝炎、肝硬変の原因ウイルスで、乳児期の感染のほとんどが母児垂直感染である。母体の
  抗原が陽性であった場合、出世時に産道感染を起こす可能性がある(母体HBe抗原陽性の場合、放置すれば95.5%
  感染が成立する。HBe抗体陽性であっても約10%に感染がおこる。ただし母乳を介しての感染はないと考えられてい
  る)。 しかし、感染したら必ず発症するわけではなく、分娩後48時間以内に児に抗HBs人免疫グロブリンを接種する
  ことにより、発症は高い確立で予防される。(グロブリンは母体にHBs抗原が存在すればHBe抗原の有無にかかわら
  ず行う。基本的に疑わしきは予防的措置を行う)

  #血中HBVマーカーの臨床的意義
   
    HBs抗原  : 現在のHBV感染
    HBs抗体  : 既往のHBV感染、HBV感染防御抗体
    HBe抗原  : 血中HBV多く、感染性強い。 肝疾患例では肝炎が持続し、活動性である ことが
              多い。HBV増殖のマーカー。
    HBe抗体  : 血中HBV少なく、感染性弱い。肝疾患例ではほとんど肝炎が鎮静化し、 非活動
              性である。
    HBc抗体  : 極少量のHBVでも HBc抗体陽性となり、HBV感染の有無を調べるのに極めて
              有用。 HBs抗原陰性、HBs抗体陽性でも、HBc抗体陽性の場合は、極少量の
              HBVが存在しているとみなすべき。
              低抗体価 過去のHBV感染
              高抗体価 HBVの感染状態
    IgM型HBc抗体 : 低抗体価 B型急性肝炎時ないしその後数か月、B型慢性肝疾患の増悪期
                   ないしその直後      。
                 高抗体価  B型急性肝炎時 

    (外来検査でHBs抗原陽性なら肝機能検査とともに上記マーカー一式の検査を行う)
    
  #分娩時臍帯血のHBs抗原検査を行う。まれに(5%以下)、胎内感染が成立していることがあり、この場合予防措置
    は無効となる。

  
  #妊婦さんへの指導は下記「HBs抗原陽性の患者さんのために」を参照のこと

5、梅毒

  流産・早産・死産の原因となる。その上、胎盤を介して胎児に感染し、先天性梅毒症候群(骨の異常、発疹、難聴
  その他)を引き起こすことがある。ただし、胎盤が完成するまで(妊娠14〜16週まで)は、胎児に感染することはなく、
  たとえ胎盤が完成しても病原体が胎盤を通過するのに6週間かかる。よって、早めに発見できれば治療で感染を防ぐ
  ことができる。
  #梅毒血清反応の解釈
     STS    :非特異的反応、感染後早期に陽性となる。治療効果判定に有用。
            (5〜20%BFP Biological False Positive)
           BFPが見られる疾患として、SLE(20%)、ハンセン病(25%)、ヘロイン常用者(15 %)
           で高率に見られ、その他細菌感染後、ワクチン接種後、肝疾患、妊娠などでも2 %
           ぐらいの陽性率を示す。

    TPHA   :特異的反応。感染後、陽性まで時間がかかる。
            治療しても陰性化しにくい。    
    FTA-ABS:特異性が高い。感染後比較的早期に陽性化する。
           (上記検査とも感染4週間以上経過しないと、陽性にならない。)
           FTA-ABS試験は、梅毒の病原体トレポネーマニコルス株を抗原として使用する蛍光抗体
           吸収試験であり、TPと共通抗原を有する非病原性トレポネーマ属に対する抗体の影響を
           除去しているため特異性に優れている。FTA-ABSは梅毒病期いずれの段階においても
           他のSTS、TPHAより鋭敏であるため、感染初期の梅毒診断並びに他法が不一致のときの
           確認など、確定診断に用いられる。


STS TPHA FTA-ABS        判   定
 非梅毒
 FTAの非特異的反応
 治癒後の梅毒
 治癒後もしくは先天梅毒
 偽陽性ときに感染早期の梅毒
 早期梅毒
 古い梅毒もしくはFTA消失 
 梅毒
治療 原則としてペニシリン。
バイシリン6錠(120万単位)、ビクシリン4カプセル(1g)など。
4ー6週間投与を1クールとし、抗体価が固定すれば治癒とする。
例: ビクシリン6カプセル(1.5g)分3/1日×30日を1クールとし
治療効果判定
梅毒の治療効果はSTS法の抗体価と非常によく相関する。そのため、梅毒の病期に応じた十分な治療を行った後にはSTS法の抗体価の低下(ガラス板法で4以下、RPR法で8以下、緒方法で40以下が目標。)を定期的に観察する。
しかし、STS法の抗体価の低下には長期間が必要で、また陽性のまま残ることが多いが、抗体価を陰性化することが梅毒治療の目的ではない。他の感染症と同様に梅毒治癒後も抗体価が長期間陽性のままであることはしばしば経験される。すなわち非治癒と抗体価の陽性は必ずしも一致しない。
治療後の経過観察や治癒判定にはFTA-ABSまたはTPHA法でIgM抗体を調べる。
梅毒を抗生物質で治療し現行血清反応が陽性であっても、
IgM抗体を有していない患者は治癒とみなすという報告があり、梅毒IgM抗体の測定は治癒判定の目安となっている。


先天梅毒(新生児の梅毒検査)は、下記の5つのうち、いずれかの要件をみたすものである。
ア  母体の血清抗体価に比して、児の血清抗体価が著しく高い場合
     STS(ガラス板法、RPR テスト)、TPHA,
     (IgG は母体から移行抗体として胎盤を通過する。但し、母体血清抗体価に比して児の抗体価が
     著しく高い。)
イ  児の血清抗体価が移行抗体の推移から予想される値を高く越えて持続する場合
ウ  TPHA IgM抗体陽性
     (IgM は母体から胎盤を通過しない、陽性なら先天梅毒と診断さ れる。早期の治療が必要。)
エ  早期先天梅毒の症状を呈する場合
オ  晩期先天梅毒の症状を呈する場合

6、頚管無力症チェック(経膣超音波)

  頚管無力症は妊娠中期に明らかな子宮収縮など他に原因が認められないにもかかわらず、子宮頚管が展退、開大
  し、適切な治療を行わないと速やかに流早産に終わり、次回の妊娠時にも反復するという特有な経過をとる。妊娠
  20〜22週前後に発症することが多い。診断は内診で気づく前に、経膣超音波にて頚管長の短縮や、内子宮口の開大
  ・胎胞の内子宮口への侵入像で得られる。診断がつけば、すみやかに子宮頚管縫縮術(シロッカー、マクドナルド)を
  行うことにより妊娠を継続できる。

7、クラミジア抗原

  最近多く見られる性感染症の1つである。現在、妊婦の1割から2割に感染が存在すると言われている。切迫早産の
  原因となったり、分娩時に産道で児に感染し結膜炎や肺炎を引き起こすことがある。抗生物質の投与で治療するが、
  夫婦で治療を受けることが大切である。
  #性行為感染症の1つであるが、夫婦間のトラブルとならぬよう説明に注意が必要である。 

抗原検査 抗体検査
 検体 子宮頸管スワプ、
咽頭スワプ
血清IgG IgA
 検査時期 第一 子宮頸管抗原検査 抗原検査陰性、臨床症状陽性時、抗体検査(補助診断として)
 判定の
 注意点
 偽陰性、偽陽性あり ・過去の感染でも陽性
・抗体陽性でも再感染
・抗体価では治療効果、
 治癒判定には不適切
判定 陰性 陽性 クラミジアトラコマチスが感染後速やかに腹腔内に侵入して、頸管からは抗原が検出されない場合もあります。上行感染してしまった可能性があります。
陽性  IgG 抗体陽性

  IgA 抗体陰性
IgG抗体、IgM抗体は感染後速やかに上昇しますが、IgA抗体は約1ヶ月以上あとに陽性になることが多いとされています。経過と共にいずれIgA陽性になると思われます。(野口昌良先生より)



                                                                  

8、HCV(C型肝炎)

  成人においてB型肝炎ウイルスの感染ではキャリア化することはまれであるが、C型肝炎ウイルスの感染では高率に持続感染化する特徴をもっている。20年〜30年の経過で、慢性肝炎、肝硬変、肝ガンへと進行することがある。
  妊婦にHCV抗体が陽性であった場合、肝機能の精査とともにHCV-RNA定量を調べ、母子感染のリスクを推定する(HCV抗体陽性者の母児感染の頻度は約10%といわれている)。 HCV-RNAが陰性であれば、一般的には感染の既往と診断されるが、慎重を期して定期的フォローアップする。HCV-RNA陽性者は感染性を有しており、患者の肝機能、出生後児のフォローアップ、院内感染対策に十分注意する必要がある。

  #キャリアへの説明例 (夫も同席が望ましい)
   1、日本では2%の頻度で多い疾患である。
   2、20年から30年の経過で、慢性肝炎、肝硬変、肝ガンへと進行することがある。
   3、インターフェロンが有効である(妊婦の使用の可否はまだわからない)。
   4、家族内感染、夫婦間感染の可能性は低いですが認められるので、家族にHCV抗体スクリーニングを受けることを進める。
   5、主に血液を介して伝搬するので、月経血、鼻出血などの血液の処理に注意を払う。
   6、家族内感染率と夫婦間感染率との間に差を認めないので、ことさらスキンの使用を始める必要はない。
   7、母子感染率はB型肝炎ウイルスと違い、約10%(2〜7%)と比較的低い。
   8、母乳保育で母子感染率は変わらない(母乳可)。
   9、児は小児科で経過観察する。

  HCV-RNA定量検査:ウイルスの遺伝子(核酸の中のRNA)を直接的に検査する方法です。
    陽性の場合は現在感染している可能性が高いと判断され、キャリアと呼ばれます。 またウイルス量によって治療方法も異なってきます。
    陰性の場合はウイルスが検出されず、過去の感染(既往感染)である可能性が高く、今後の健康状態に影響を及ぼすことなないと考えられておりますので、特に心配する必要はありません。

9、ATL(成人T細胞白血病)


  白血病の一種でウイルスで感染する。母子感染した後、30〜50年後に発症する。ただし、全員が発症するわけで
  なく、キャリアの生涯発症率は40才以上の感染者の場合、1年間に発病する危険率は男女平均して約1,300人に1人
  で、と推測されている。感染経路は母乳が主である。母乳保育では15〜25%の児がキャリア化するのに対し、人口
  栄養児では2〜6%であった。感染予防として、人口乳や凍結母乳哺育が推奨されている。
  #注意
    人口乳哺育がきわめて有効な手段であることは論を持たないが、強制的な断乳はあってはならない。十分な説明
    の後、患者自らが哺育方法を選択すべきである。
    Q、前回の妊娠時抗体検査陰性はどうするか?
  HTL-1 キャリアの方へ


10、膣分泌物培養(GBS)

   膣内の細菌増殖は絨毛羊膜炎の原因となり、早産、破水を引き起こすことが知られている。一方、分娩時に児に
   感染する可能性もあり、特にB群溶連菌(GBS)と呼ばれる種はまれではあるが新生児敗血症や髄膜炎を引き起こ
   す。妊婦さんのGBS陽性頻度は5〜18%であり、うち児の発症頻度は0.5%ほどである。頻度は少ないが、いったん
   発症すると、その経過は激烈であり、予後不良である。したがって、陽性妊婦へは妊娠中および分娩時の抗生物質
   による治療がおこなわれる。
   #GBS感染対策マニュアル参照


11、血糖

   妊娠糖尿病は胎児・新生児合併症として巨大児、子宮内胎児発育遅延、胎児奇形・死亡、新生児低血糖などを起
   こしうる。妊娠中早期発見、食事療法などによりそれらの発症をある程度予防可能である。
    治療目標 : 空腹時血糖値 ≦100mg/dl, 最高血糖値 ≦140mg/dl, HbA1C ≦ 6.5%を目標に、食事療法,
              運動療法、インスリン療法を必要に応じて行う。

   妊検時、尿糖陽性患者は血糖値を調べる。血糖値の高い者や家族歴(+)、巨大児疑い、羊水過多等ハイリスク症
   例は積極的に75gGTT検査を行う。

   #75gGTT

前値 60分 120分
正常型 <110mg/dl <160mg/dl < 120mg/dl すべて満たす
境界型
妊娠糖尿病型 ≧100mg/dl ≧180mg/dl ≧150mg/dl 2項目以上

                                                               
 
12、血液型、(不規則抗体)

   妊娠、分娩中の予期せぬ出血に備えて、検査を行う。
   また、1%の人で不規則抗体陽性であり、胎児・新生児溶血性疾患の原因となることがある。

13、トキソプラズマ

   トキソプラズマ(原虫)はもともと猫を宿主とする寄生虫だが、犬・羊・豚・鳥にも寄生していることがある。妊娠前に
   感染した場合はほとんど心配ないが、妊娠中感染すると児に感染し、脳や視神経、目に異常が現れることがある。
   胎児の時点で異常が現れることはまれである。現在、希望者に検査を行うようにしている。
  
   
トキソプラズマ抗体測定値の解釈(小島,2001)
一回目の抗体
(PHA, IHA, LA)測定
2回目の抗体測定(2〜3週間後) 解釈
陰性 陰性 未感染
陽性 最近の初感染(初回測定から約2週間以内)
陽性 初回に比し4倍以上の上昇かつ
トキソプラズマlgM抗体陽性
最近の初感染(2回目測定から約4カ月以内)
初回と不変かつ
トキソプラズマlgM抗体陽性
最近〜古い感染の既往(2回目測定から最低2カ月〜4年以上前)。PersSistent lgM が多い。アピデイティの測定が有用
初回と不変かつ
 トキソプラズマlgM抗体陰性
古い感染の既往(2回目測定から最低4カ月〜4年以上前)
加熱処理の不十分な肉を摂取したり,土いじりをしたり,猫に接触したり,頸部リンパ節腫脹を認めた場合、トキソプラズマlgM抗体(PHA, IHA, LA)を測定する。


14、羊水染色体検査

   母体年齢が高くなるにしたがって胎児の染色体異常の頻度が増加する。もっとも多いダウン症は一般集団で出生
   1000例に1例であるが、35歳で出生300〜400例に1例、40歳で出生100例に1例となる。(染色体異常の
   ページを参照)
 35歳以上の方は希望に応じて染色体検査の対象になるとされている。しかし、羊水穿刺に伴う
   破水、流産の発症も可能性はないわけでなく(1/200前後)、染色体異常児の出産歴、家族歴等考慮し、十分な
   説明の上施行する。

   超音波検査法  後日、超音波の勉強会あります。                             



  

  
HBs抗原陽性の患者さんへ


  先日の血液検査により、B型肝炎ウイルスをもっているキャリアーであること(HBs抗原が陽性であること)が
  判明しました。

  Q1,B型肝炎とはどんな病気ですか?
     ウイルスとい小さな病原体による病気です。新生児や乳幼児期に感染すると免疫の働きが未熟で弱い
     ために、ウイルスをそのまま抱え込み、キャリアーとなり、血液や体液中に生き続けます。ほとんどの
     場合幼少時は何事も起こらずに経過しますが、大人になり免疫力が強まると肝炎が起きるのです。こ
     のようにして経過、発症した肝炎は高率に慢性化し、さらにそのうちの一部は肝硬変や肝ガンに進行
     することもあります。

  Q2,赤ちゃんにはどのようにして感染しますか?
     お産で赤ちゃんが産道を通過するときに(まれに妊娠中に子宮の中で)母親から感染する母子感染と、
     生後にウイルス陽性者の血液を介する感染の2通りがあります。

  Q3,精密検査でHBe抗原陽性といわれましたが?
     B型肝炎ウイルスはさらにHBe抗原陽性とHBe抗体陽性の2つのグループに分けられます。HBe抗原
     陽性の場合は感染力が強く、特に注意が必要です。一方、HBe抗体陽性の場合は感染力は比較的
     弱いとされています。

  Q4,母子感染は予防できますか?
     母体がHBe抗原陽性の場合放置すれば100%に母子感染が起こります。また、HBe抗体陽性であって
     も約10%に母子感染が起こると言われています。ただし、母乳を介しての感染はないと考えています。

  Q5,感染を予防するにはどうしたらよいでしょうか?
     赤ちゃんにはまずウイルスを殺す抗体を多量に含んだ薬(抗HBs人免疫グロブリン)を筋肉注射します。
     その後の乳児期にHBワクチンを接種し、自分で抗体を作るようにします。その投与方法を以下に示し
     ます。これによりほとんどの場合でB型肝炎ウイルスの母子感染を防止できるようになりました。なお、
     これらの医療行為は健康保険適用になっています。
        
予 防  抗HBs人免疫グロブリン
 HBワクチン
月 齢  
検 査  HB抗原検査
 HB抗体検査

        
        母親がHBe抗体陽性の場合(#)内は省略する場合、また新生児、乳児の状態により接種時期が
        前後、省略することもあります。

  Q6、夫に感染することがありますか?
     感染の危険性はありますのでHBワクチンで予防します。特にHBe抗原陽性の場合は大切です。HBe
     抗体陽性でも、まれに感染する場合があるので接種したほうが無難です。同居の家族については
     カミソリ、歯ブラシ、生理用品等をきちんと管理、処理すれば通常問題ありませんが、接種を希望されれ
     方、ご不明な点のある方は医師に相談してください。職場や学校などで感染することはありません。

                                                             
                                                            

HTL−1キャリアの方へ

HTLV-1Human T-Lymphotrophic Virus; type 1というRNAウィルス)

ATL(Adult T-cell Leukemia = 成人T細胞性白血病)

1) キャリア(抗HTLV-I抗体陽性の方)の頻度は南九州、沖縄の約5%に対し、
  その他の地域ではほぼ
0.1%(大分県約1%)と地域差が大きい。

2) 一般に40歳以降、約1700人に1人の割合で白血病を発症するので、今後定期
  検診を受ける。キャリアの方(抗体陽性)生涯発症率は、女性で
2%で、男性
  で
5%である。ただし発症は、母子感染によりHTLV-1に感染した場合に限られ、
  成人してから輸血や性交により感染した場合には、発症には至らない。

3) 生きた感染リンパ球を介して感染するので、感染経路は、母子感染、夫から妻
  への感染、輸血が知られている。

4) 母子感染。夫から妻への感染が認められるので、夫や両親、兄弟のATLA抗体の
  スクリーニングを受けることを勧める。陽性であれば、内科に紹介し定期的な
  検診を受けさせる。

5) 母子感染は、経母乳感染が主で、その他、胎内感染、分娩時感染が時に認め
  られる。

6) 母乳中の感染リンパ球を介し児に感染するので、母乳を冷凍(-20℃で12時間)
  するか、加熱(
56℃で30分間)すれば、感染力は失われる。

7) 母子感染率は人工栄養哺育で約3%6%6ヶ月未満の短期母乳哺育で4%6%
  母乳哺育で約
15%25%といわれているが、研究者による意見の一致を見てい
  ない。

8) 哺育方法は、上記母子感染率と母乳哺育の希望の強さとにより、以下の4つの
  オプションから夫婦が選択する。

@     人工栄養哺育
A     凍結母乳
B     短期間母乳哺育(3ヶ月間)
C     加熱母乳(一般家庭での56℃の実施は困難)

9)児は小児科で3年間は経過観察する。